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遺言書は「自筆」と「公正証書」どちらがいい?違いと選び方

2026年9月21日 執筆:行政書士 高橋 明
遺言書を書く万年筆のペン先

「遺言書は書いておいたほうがいい」と聞いても、種類がいくつもあって、どれを選べばよいか迷う方は少なくありません。

この記事では、よく使われる3つの方法、自宅で保管する自筆証書遺言法務局に預ける自筆証書遺言公正証書遺言の違いと、選び方の目安をまとめます。(ほかに「秘密証書遺言」もありますが、利用は多くありません。)

この記事のポイント

3つの方法の違い

自筆証書遺言
(自宅で保管)
自筆証書遺言
(法務局で保管)
公正証書遺言
作り方全文・日付・氏名を自分で書き、押印する同じ(法務局の様式のルールあり)公証人が作成する。内容は本人が伝える
費用手数料はかからない保管の申請手数料 3,900円(1件)財産の額などに応じた公証人の手数料
保管自分で保管する法務局(遺言書保管所)原本は公証役場
家庭裁判所の検認必要不要不要
証人不要不要2人以上が必要
向いている人まず手軽に気持ちを形にしたい人費用を抑えて安全に預けたい人財産や家族関係が複雑な人、不備なく残したい人

自筆証書遺言のルール

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば、いつでも作れます。そのぶん、法律で決められた書き方を守らないと無効になるおそれがあるのが、いちばんの落とし穴です。

「検認」とは

自宅などで保管されていた自筆の遺言書は、亡くなった後に、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります。遺言書の偽造や変造を防ぐための手続きで、遺言が有効かどうかを判断する手続きではありません。

封印のある遺言書は、家庭裁判所で開封する決まりです。見つけたときは、自分で開けずに、そのまま家庭裁判所に提出してください。

法務局の保管制度でできること・できないこと

2020年7月10日から、自分で書いた遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けられる制度が始まりました。申請の手数料は、1件につき3,900円です。

メリット

注意したい点

公正証書遺言の特徴

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。作成には証人2人の立ち会いが必要で、原本は公証役場に保管されます。家庭裁判所の検認は不要です。

ただし、公正証書にすれば中身の相談が要らなくなる、というわけではありません。「誰に、何を、どう渡すか」という中身を整えることが、いちばん大切です。

選び方の目安

自筆証書遺言(できれば法務局保管)が向いているケース

公正証書遺言が向いているケース

迷ったときは、まず自筆で下書きを作って内容を整理し、そのうえで公正証書にする、という進め方もあります。

よくある失敗

  1. 形式の不備:日付がない、押印がない、パソコンで全文を作ってしまった。
  2. 財産の書き方があいまい:「自宅は長男に」だけでは、どの不動産か特定しにくくなります。不動産は登記事項証明書のとおりに、預貯金は金融機関名・支店名・口座の種類と番号まで、正確に書きます。
  3. 遺留分への配慮がない:兄弟姉妹以外の相続人には、遺言でも奪えない最低限の取り分「遺留分」があります。偏った内容にすると、亡くなった後のトラブルのもとになります。
  4. 遺言執行者を決めていない:遺言の内容を実際に実現する手続き(預貯金の解約や名義変更など)を担う人です。あらかじめ決めておくと、手続きが進めやすくなります。
  5. 書いたことを誰にも伝えていない:見つけてもらえなければ意味がありません。保管場所や、遺言書があることを、信頼できる方に伝えておきましょう。
  6. 内容が古くなる:財産やご家族の状況は変わります。遺言は書き直せます。内容が食い違うときは、原則として新しいものが優先されます。

行政書士にできること、他の専門家の役割

行政書士がお手伝いできること

不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の試算や申告は税理士、すでに相続人どうしで争いがある場合の交渉や調停、裁判は弁護士の業務です。ご状況に応じて、適切な専門家をご案内します。

遺言書のことで、どこから始めればよいか迷ったら、無料相談(初回約30分)をご利用ください。

この記事は2026年9月時点の一般的な情報です。法律の改正や、ご家族の状況によって、最適な方法は変わります。具体的なご事情は、個別にご相談ください。

参考にした公的な情報:
法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」
法務省「自筆証書遺言に関するルールが変わります」
裁判所「遺言書の検認」
日本公証人連合会「遺言」

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