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成年後見

認知症に備える3つの方法成年後見・任意後見・家族信託の違い

2026年10月11日 執筆:行政書士 高橋 明
寄り添う高齢の母と娘

「親が認知症になったら、預貯金はどうなるのだろう」「自分が将来そうなったとき、家族に迷惑をかけたくない」。そうしたご相談を、よくいただきます。

ご本人の判断能力が不十分になると、預貯金の手続きや、不動産の売却、施設入所の契約など、ご本人の意思の確認が必要な手続きが、進められなくなることがあります。この記事では、そのときに備える3つの方法、法定後見、任意後見、家族信託の違いを整理します。

この記事のポイント

3つの方法の違い

※ 表は、左右に動かして見られます。

法定後見任意後見家族信託
使える時期判断能力が不十分になった後お元気なうちに契約し、判断能力が不十分になった後に始まるお元気なうちに契約する
支援者を決める人家庭裁判所ご本人が、契約で決めるご本人が、託す相手(受託者)を決める
始め方家庭裁判所に申し立てる公証人が作る公正証書で、契約を結ぶ信託契約を結ぶ
主な費用収入印紙800円と登記用2,600円、郵便切手。必要な場合は鑑定費用公証人手数料13,000円、登記嘱託手数料1,600円、収入印紙2,600円など契約の内容によって異なる
家庭裁判所のかかわり後見人を選び、報告を受ける任意後見監督人を選び、監督する基本的に、かかわらない
ご本人の契約の取消し一定の範囲でできるできない仕組みが違う

法定後見:判断能力が不十分になった後の制度

家庭裁判所に申し立てて、後見人などを選んでもらう制度です。申立てができるのは、ご本人、配偶者、四親等内の親族などです。申立先は、ご本人の住所地の家庭裁判所です。

知っておいていただきたい点が、3つあります。

成年後見の制度は、改正されました

2026年6月に「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)が成立し、6月24日に公布されました。成年後見制度では、後見と保佐の制度を廃止して、補助の制度に一元化する見直しが決まっています。

施行は、公布から2年6か月を超えない範囲で、政令で定める日です。2026年10月の時点では、まだ施行されていません。この記事は、現在のルールで書いています。

任意後見:お元気なうちにできる備え

ご本人に十分な判断能力があるうちに、将来の支援者(任意後見人)と、任せる内容を、契約で決めておく制度です。契約は、必ず公正証書で結びます。

注意したい点

家族信託:財産を家族に託す仕組み

ご自身の財産(不動産・預貯金など)を、信頼できるご家族に託し、あらかじめ決めた目的に沿って管理してもらう仕組みです。財産を託す人を委託者、託される人を受託者、財産から利益を受ける人を受益者といいます。

法務省は、2026年3月31日に信託制度のパンフレット「知って活用 信託制度」を公表しました。その中で、認知症などに備えた財産管理には、親族間で信託を利用することが有効だと述べています。ご本人の判断能力が下がった後も、信託の目的に沿って、財産を柔軟に活用できる点が特徴です。

注意したい点

契約の内容の設計が、とても大切です。決めごとが不十分だと、いざというときに、うまく動かないおそれがあります。専門家と一緒に、じっくり詰めてください。

選び方の目安

任意後見が向いているケース

家族信託が向いているケース

法定後見になるケース

これらは、組み合わせて使うこともあります。ご家族の状況や、財産の中身によって、合う方法が変わります。

行政書士にできること、他の専門家の役割

行政書士がお手伝いできること

家庭裁判所に出す後見の申立書の作成は司法書士や弁護士、不動産の信託登記は司法書士、税金のご相談は税理士、ご家族の間で争いがある場合は弁護士の分野です。ご状況に応じて、適切な専門家をご案内します。

「親のことが心配だけれど、何から手をつければいいか」という段階でも、大丈夫です。無料相談(初回約30分)で、状況を整理するところから一緒に考えます。

この記事は2026年10月時点の一般的な情報です。成年後見制度は、2026年6月の法律の改正により、今後変わります。ご家族の状況によって、最適な方法は異なります。具体的なご事情は、個別にご相談ください。

参考にした公的な情報:
・法務省「成年後見制度について(Q1〜Q2)」/法務省「任意後見制度について(Q16〜Q20)」
・裁判所「後見開始」
・最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和6年1月〜12月)」
・日本公証人連合会「任意後見契約公正証書を作成する費用」
・法務省「信託制度のパンフレットの公表について」
・法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」

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