アメリカで、金融機関の破綻が相次いでいます。
3 月 シリコンバレーバンクが経営破綻(アメリカで史上3番目の規模)し、シグネチャーバンクも経営破綻。
5 月 ファースト・リパブリック・バンクが経営破綻(アメリカで史上 2 番目の規模)
今年破綻した3 つの銀行の価値は リーマンショックの年に破綻した銀行の価値と同レベルです。
今のところは株式市場に与えている影響は軽微でナスダックは年初来高値を更新しており、むしろ好調です
とはいえ、アメリカの金融機関の破綻規模は、リーマンショック並みで、これから荒波が来ないと断言できる人はいないでしょう。
波が穏やかな今のうちに「相場が荒れるかもしれない」と覚悟を決めておくことは、悪いことではないかなと思います。
このブログでは「ウォーレン・バフェット 賢者の名言 365 」という書籍から今おさえておきたいバフェット の名言を 5 つ紹介します。
小さなことで規律を破ると、大きなことでも破るようになる
バフェットは、勝てる見込みのない博打をやりません。
お金を増やし続けることが大好きなバフェットにとって、博打は「合理的にお金を増やす方法」ではないからです。
バフェットが、仲間達とペルルビーチというところでゴルフをしていた時のことです。
この時、仲間からこんな「賭け」を提案されました。
3日間のプレイ中に、1回でもホールインワンを決めたら2万ドルget
この賭けの参加料は、わずか10ドル!
もし自分だったらどうするか?
「たった10ドルぐらいならいいや。ただの遊びだ」
そう思って、参加すると思います。
この賭けには、バフェットを除く全員が参加したそうです。
でも、バフェットは、こう言って断りました。
「小さなことで規律を破ると、大きなことでも規律を破るようになる」
これが、世界トップレベルのお金持ちになったバフェットの信念の1つです。
資産形成を始めるにあたってたいてい自分なりの「規律」を作ります。
例えば、
✓このファンドは、何があっても売らない!
✓いつどんな時でも、毎月必ず5万円積み立てる
✓このお金は、60歳になるまで使わない…etc
こういったルール、なかなか守り切れないのが現状です。
ちょっと状況が変わると「臨機応変」という錦の御旗(にしきのみはた)を振りかざして、ルールを破ってしまうからです。
絶対に売らないと決めたファンドも、インフルエンサーが「ダメだ」と言ったら不安になって売ってしまうし、1年2年値下がりが続いたら、売ってしまいます。
どんな時でも5万円積み立てると決めたのに、株式市場が暴落したら
もっと相場が良くなったら戻ってくる
と言って積立てを止めてしまうし、子どもが進学したら
「今はお金がかかる時期だからしょうがない」
と言い訳をして、積立てを止めてしまいます。
最初は、ちょっとした「柔軟な対応」のつもりでしょうが、それは時に「小さな規律破り」に繋がります。
(〇〇な時は、損切りをする。〇〇な時は、積立てを停止する。など、あらかじめ「規律」を決めている場合は別です)
そして、小さな規律破りをしているうちに、「人生を豊かにするために、資本主義の力を借りる」という「大きな規律破り」までするようになるのです。
要は、投資の世界から完全に撤退する、ということです。
相場が荒れる時こそ、「規律」を守るべき時です。
市場は下落し、投資を引き上げる人には損失発生。しかし、これから投資する人々にとっては利益になる。
もし、今後株価が大きく下げるようなことがあれば、こう考えるとよいと書かれています。
今投資を引き揚げたら、損失発生
これから投資をするなら、利益になる
これは、バフェットに言わせれば「自明の理」=説明する必要がないほど当たり前のことです。
1970年代、米国株式市場は大暴落を経験し、多くの株式や企業に安い値がつけられるなか、超有名な投資メディア、ウォール・ストリート・ジャーナルはこう報じていました。
「見通しがはっきりするまで、株の購入は見合わせた方が良い」
一方、バフェットはなんと言っていたか?
「今こそチャンスだ、儲けよう」
まるで正反対です。
結果は、バフェットの大勝利で彼は大きな利益を手にすることになりました。
バフェットは、こう言っています。
「市場は下落し、投資を引き揚げる人には損失発生。しかし、これから投資する人々にとっては利益になる。記者はこの自明の理を忘れがちですが、すべての売り手には買い手がおり、一方が損失を被れば、もう一方には利益となるのです」
株価が暴落した時、多くの人は吐き気がするほどの含み損を見てこう考えます
もうダメだ。これからもまだまだ下がるかもしれない
今のうちに株を売って、相場が右肩上がりになったらまた戻って来よう
こうやって手放した株を手にするのは誰になるのか?
それは新たな市場参加者になります。
彼らは、こう考えて意気揚々と参加してきます。
「こんなに良いモノを、こんなに安い値段で売ってくれてありがとう!!」
バフェットが言うように、すべての売り手には買い手がいます。
買い手が「そんな安い値段で売ってくれてありがとう!」と大喜びするような値段で売ってあげる必要はないはずです。
イイものを持ってる人は、どんと構えていればいいと思います。
相場の雰囲気に流されて自分が「売らされた」値段が相場の「底」だった時のショックは立ち直れません。
例えるならば、家にあった「掛け軸」がせいぜい1万円ぐらいだろうと思って友人に譲ったところ、その友人が、後日「何でも鑑定団」で鑑定してもらったら、その資産価値は100万円であることが判明したときぐらいのショックです。
すべての売り手には、買い手がいます。
もし、自分が焦って売ろうとしている時には、その向こうには「ニヤついた買い手」がいることを知っておくべきだと思います。
多くの人は、他の人がやっているからという理由で株式投資に興味を持つようです。でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つことが必要です。
ジェシー・リバモアという「伝説の投機王」をご存じでしょうか?
彼の信条は「大衆と同じバスに乗っていても、時期が来たら、いつでもそこから飛び降りようと身構えている。そして、逆方向に進む結果になることも恐れはしない」です。
1929年、アメリカの景気は最高潮を迎えていました。
株式市場には多くの人が流れ込み、皆が皆こう考えていました。
「株式市場は、まるで打ち出の小づち!」
リバモアは、この状況に危うさを感じ取り、逆方向に進みました。
この後、アメリカは歴史に残る大恐慌を迎えることになりました。
バフェットは、こう言います。
「大半の人は、他の人がやっているからという理由で株式投資に興味を持つようです。でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです。既に人気化した株を買っても、高い投資利回りを残すことはできません」
投資系のYouTubeやブログというのは、相場が良い時に閲覧数が増えます。
そして、株価が暴落すると、その瞬間だけは閲覧数が増えますが、その後段々と閲覧数が減っていきます。
投資に興味を持つ人が減っていくからです。
これはある意味で最強の「逆指標」だと思ってます。
✓資産運用系のYouTubeチャンネルが流行らない
✓資産運用系のSNSアカウントが流行らない
✓資産運用系のブログが流行らない
こういう時こそ、バフェットのいう「他の人がやっていない時」であり、最高の投資チャンスということになります。
最近は、日本でもちょっとした資産運用ブームが起きています。
データを見る限り「皆が皆、資産運用をやっている」とは言い難い状況ですが、過熱感も見られます。
S&P500をベンチマークとする投資信託の運用残高が2兆円を超え
ネット上にはかつてないほどの投資系情報発信者が存在しており
本屋に行けば、以前では見なかったほどの「資産運用本」が並んでいる
といった感じだからです。
もし今後、株式市場が暴落するようなことがあれば、その時こそ、リバモアやバフェットの言葉を思い出し他方が良いと思います。
辛抱強さや冷静さは知能指数よりも重要かもしれないと私は思っている
「あぁ、投資なんてするんじゃなかった!!」
投資をしていると、こんな思いを抱く出来事にしばしば出会います。
この苦境を乗り越えるために、いったい何が必要なのか?
バフェットは、「投資で成功するため」に次の4つの能力を上げています。
① 財務会計や簿記の知識
② ある程度の情熱
③ 辛抱強さ
④ 冷静さ
このうち、バフェットが特に重視しているのが最後の2つ。
「辛抱強さ」と「冷静さ」です
「頭が良い人は、損をしない」
これは、多くの人が抱きがちな幻想です。
頭の良い人が「損をしていないように見せる(儲かっているように見せる)」という点において優秀なのは間違いないでしょう。
ですが、実際の投資成績ということになると、話は別です。
投資家の投資成績は、IQ・偏差値の順にはなりません。
バフェットは、こう言います。
「辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています」
×頭が良いか悪いかよりも
〇辛抱できるか、冷静でいられるかの方が大切だ
ということです。
インデックス投資なんかは、この傾向が顕著です。
「インデックス投資の利益は、我慢料」
こんな言われ方をすることがあります。
どんな時でも、じっと辛抱強く相場に居続けることで、利益が得られるのです。
「優秀な頭脳」を使って、あれやこれやと手段を考えるよりも、冷静に、インデックスファンドを持ち続けていられるかどうかの方がよほど重要ですインデックス投資に関しては、いつどんな時も持ち続けることの合理性について、科学的な裏付けもたくさんあります。
もし、相場が荒れるようなことがあったら、ぜひこの言葉を思い出してください
この点を問い続けるほうが良い成績に結び付くとバフェットは言っています。
すべてを考える必要はない。ほかの人の肩の上に立つのはちっとも悪い事じゃない
最後の名言が、こちらです。
投資の勉強を始めると、こんなことを思いませんか?
「勉強することが多すぎる!」
例:インデックス投資って何?高配当株投資って何?…
「決めなければいけないことが多すぎる!」
例:オルカンにする?S&P500にする?…
「やらなきゃいけないことが多すぎる!」
例:口座開設、積立設定、資金移動…
そのうえ
「相場が暴落したら、どうしよう」みたいな、まだ起きていない未来のことまで考えなきゃいけないのです。
だけど、心配いりません。
実のところ、自分自身で「新たに考えること」はそれほど多くありません。
多くの悩みは、「先人の知恵」を借りてくればそれで解決するからです。
バフェットが経営するバークシャーは、コングロマリット(複合企業)です。
なぜ、バフェットはこのかたちの経営スタイルを選んだのか?
理由は、ガードン・ワトルズという投資家が、それでうまくいっていたからです。
バフェットは、こう言います。
あのバフェットも、TTP(徹底的にパクる)の実践者なんです。
究極的なところ、投資の世界において絶対に人を真似してはいけないのは「リスク許容度」だけです。
「あの人はこれぐらい投資してるから、自分もこれぐらい投資して大丈夫だろう」
これは、絶対に成立しません。
どれくらい、資金に余裕があると考えているか?
どれくらい、損をしても大丈夫か?
この答えを、主観的に把握できるのは、自分自身です。
バフェットが言う通り、自分ですべてを考える必要はなく、『リスク許容度』だけ押さえておけばよいのです。
アメリカの金融機関破綻のニュースが相次ぐなか
✓「なぜ、この金融機関が破綻したのか?」
✓「次に、どの金融機関が破綻するのか?」
✓「その結果、株式市場はどうなってしまうのか?」
こういったことまで考える必要は、必ずしもない、ということです。
金融史上最大の発明である「インデックスファンド」という仕組みに乗って、資本主義という、「巨人の肩」に乗って
ただ進んでいけば良いという考えもあります。
「自分は、リスクを取り過ぎていないか?」この一点だけ、いつどんな時も愚直に問い続けて下さい。
これこそが投資をするうえで考え続けるべきことであり、自分自身にしかわからないことです。
※投資は自己責任で
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